「3Kだから、カッコいい。」解体業の誇りを社会に取り戻す、多賀谷兵馬さんの挑戦
「解体業」と聞いて、どんな仕事を思い浮かべるでしょうか。
きつい。
汚い。
危険。
いわゆる「3K」と呼ばれる仕事です。
正直に言うと、ボク自身も多賀谷兵馬さん(※以下、兵馬さん)の話を聞くまでは、解体業に対して「大変そうな仕事」というイメージを持っていました。
・建物を壊す仕事。
・体力的にきつく、危険も伴う仕事。
でも、兵馬さんの話を聞いて、その印象は大きく変わりました。
解体は、ただ何かを壊す仕事ではありません。
新しい建物をつくるため。
新しい街をつくるため。
新しい暮らしを始めるため。
すべての未来は、解体から始まっているのです。
兵馬さんは、そんな解体業に「カッコいい」という新しいKを加えました。
きつい・汚い・危険。だからこそ、カッコいい。
今回は、福岡県で解体工事業を営む多賀谷兵馬さんに、解体業への想いと、社会に広げようとしている「4K」についてお話を聞きました。
※対談のアーカイブはこちら(音声で聞きたい方は👇)
https://stand.fm/episodes/6a59a4baee8ed3ef558bd584
解体は、すべての始まり
兵馬さんが社員の皆さんに伝えている言葉があります。
「解体は、すべての始まりだから」
建物を新しく建てるためには、
そこにある古い建物を解体しなければなりません。
解体が予定どおりに終わらなければ、
その後に続く工事にも影響が出ます。
だからこそ、兵馬さんは社員の皆さんにこう伝えています。
「最初でこけてしまったら、後に続く業者さんたちに迷惑がかかる。だから、ボクたちがこけるわけにはいかない」
解体は、工事の最後ではありません。
むしろ、未来をつくるための最初の一歩です。
街の景色が変わるとき。
新しい建物が生まれるとき。
誰かの新しい暮らしが始まるとき。
その一番最初にいるのが、解体業で働く人たちなのです。
そう考えると、解体業の見え方が変わってきませんか。(ボクもきつい仕事だと思ってました)
幼稚園の頃から立っていた現場
兵馬さんが初めて解体現場に立ったのは、なんと幼稚園の頃。
(本当にびっくりですよね。)
先代であるお父さまが会社を経営していたため、小学生、中学生、高校生になってからも、夏休みや冬休みなどの長期休暇には現場に出ていたそうです。
友達と遊ぶ約束をしていても、現場が入れば断らなければならない。
小学生にとって、現場の仕事はもちろん楽なものではありません。
「イヤだと思っていました」
兵馬さんは、当時のことをそう振り返ります。
(ただ、現場がイヤだったわけではなく、友人と遊べなかったことがイヤだったと。)
大学卒業後は、すぐに家業へ入ったわけではありません。
一度まったく違う世界で自分の力を試したいと考え、飛び込み営業の仕事を経験。
その後、会社へ戻り、再び現場作業からスタートしました。
現場、営業、そして代表へ。
幼い頃から現場を見続けてきたからこそ、兵馬さんは、働く人たちの苦しさも、悔しさも、カッコよさも知っています。
仕事を楽しくするのは、才能ではなく「設計」
解体現場と聞くと、親方から頭ごなしに指示されるような、厳しい職場を想像する人もいるかもしれません。(ゴメンナサイ、ボクはそうでした)
しかし、兵馬さんが大切にしているのは、
ただ「これをやれ」と指示することではありません。
・なぜ、この作業をするのか。
・今日、どこまで終わればいいのか。
・どんな方法で進めればいいのか。
・どのくらいで終われば素晴らしいのか。
仕事の目的とゴールを、最初にきちんと伝えることを大切にしています。
目的も分からず、ただ体力の必要な作業を続けるのは苦しい。
でも、ゴールが見えていれば、仕事はゲームのように変わります。
「この時間までに終わらせよう」
「もっといい方法はないだろうか」
「チームで協力して早く終わらせよう」
自分で考える余白が生まれ、仕事が自分ごとになっていく。
さらに、兵馬さんは社員を頼ります。
人は、頼られると嬉しい。
任されると、自分の仕事に責任と誇りが生まれる。
これは解体業だけの話ではありません。
会社でも、地域活動でも、コミュニティ運営でも、育児でも同じです。
・ゴールを伝えること。
・役割を渡すこと。
・そして、相手の力を信じて頼ること。
人が前向きに動ける場所には、必ずこうした設計があるのだと思います。
「新3K」ではなく「4K」が生まれた理由
兵馬さんが「4K」という言葉を思いついたのは、ある会社を見学した帰りの飛行機でした。
訪れたのは、八王子でごみの収集や分別を行っている会社。
そこには、従来の3Kを変える「新3K」という言葉が掲げられていました。
「きれい」
「気持ちいい」
「感動を与える」
その言葉に感銘を受けた兵馬さんは、
最初、自分の会社でも取り入れようと考えます。
しかし、帰りの飛行機の中で、ふと立ち止まりました。
実際の解体現場は、きつい。
汚れることもある。
危険も伴う。
それは、きれいな言葉だけで消せるものではありません。
まだ社員との関係性が十分に築けていない中で「きれい、気持ちいい、感動を与える」と伝えても、「社長、それはきれいごとじゃないですか」と思われるかもしれない。
そんなことを考えているとき、兵馬さんの中から、自然と言葉がこぼれました。
「でも、カッコいいんだよな」
きつい現場で働いている。
汚れながら、誰かの未来をつくっている。
危険と向き合いながら、街の土台を支えている。
それを最前線でやっている社員たちは、間違いなくカッコいい。
だったら3Kを無理に消すのではなく、そこに「カッコいい」を加えればいい。
こうして生まれたのが、
きつい・汚い・危険・カッコいい。
解体業の「4K」です。
今では、兵馬さんの会社の社員たちは、自分たちのことを「4Kクルー」と呼ぶようになったそうです。
言葉が変わると、自分たちの仕事の見え方が変わります。
仕事の見え方が変わると、働く姿勢が変わる。
最初は兵馬さん一人が掲げた言葉が、
少しずつ社員の皆さんの誇りになっていったのです。
届けたいのは、解体業で働く人だけではない
兵馬さんが「4K」を届けたい相手は、
建設業界や解体業界で働く人だけではありません。
むしろ、届けたいのは、その周りにいる人たちです。
・家族。
・友人。
・地域の人。
・まったく違う業界で働く人。
いくら会社の中で「ボクたちの仕事はカッコいい」と言い続けても、社会から「3Kの大変な仕事」としか見られていなければ、働く人たちは心の底から誇りを持つことができないかもしれません。
だからこそ、まずは周りの人たちに「4K」という考え方を知ってもらいたい。
現場で働く人を見たときに、
「大変そうだね」だけではなく、
「あなたたちの仕事、カッコいいね」
そう言ってもらえる社会をつくりたい。
兵馬さんは、4Kという言葉を優しく受け入れてくれる人に届けたいと話していました。
その人から、また次の誰かへ。
優しい理解が少しずつ広がり、やがて社会の見方が変わっていく。
それは、とても時間のかかる挑戦かもしれません。
それでも兵馬さんは、解体業で働く人たちの誇りを取り戻すために、声を上げ続けています。
4Kの根っこにあるのは、社員への愛情
兵馬さんが4Kを広げようと思った一番最初の理由。
それは、社員の自己肯定感を上げたかったからでした。
「どうせ自分なんて」
「頑張っても幸せにはなれない」
「自分の仕事なんて大したことはない」
社員の皆さんから、そんな空気を感じることがあったそうです。
だから兵馬さんは、社員の皆さんに伝えたかった。
あなたたちの仕事は、必要とされている。
街の未来をつくっている。
汗を流し、真剣な表情で働く姿はカッコいい。
そして何より、目の前にある幸せに気づいてほしい。
幸せは、遠い未来に突然現れるものではありません。
仲間と一緒に働けること。
誰かの役に立てること。
必要とされること。
今日も無事に仕事を終えられたこと。
すでに目の前にあるものに気づく力を持ってほしい。
兵馬さんの4Kは、単なる業界のイメージ戦略ではありません。
社員一人ひとりに幸せになってほしいという、深い愛情から生まれた言葉なのです。
どんな仕事に就いても、誇りを持ってほしい
ボクには、小学1年生の娘がいます。
娘がこれから成長し、いつか自分の仕事を選ぶときが来ます。
どんな仕事を選ぶのかは分かりません。
有名な仕事かもしれない。
まだ世の中にない仕事かもしれない。
周りから大変そうだと言われる仕事かもしれない。
それでも、自分が選んだ仕事に誇りを持ってほしい。
誰かの評価だけで、自分の仕事の価値を決めてほしくない。
そしてボク自身も、娘が選んだ仕事を肩書きやイメージだけで判断するのではなく、その仕事が誰の役に立ち、どんな未来につながっているのかを見られる親でありたいと思いました。
兵馬さんの話は、解体業だけの話ではありません。
「自分の仕事に、どんな意味を見いだすのか」
これは、すべての働く人に向けられた問いなのだと思います。
きついからこそ、カッコいい
きついことを、無理に楽だと言う必要はありません。
汚れる仕事を、きれいな仕事だと言い換える必要もありません。
危険があるなら、危険があるという事実から目をそらしてはいけない。
でも、、、
その厳しい環境の中で、誰かの暮らしを支えている人がいる。
誰かがやらなければならない仕事を、最前線で担っている人がいる。
だからこそ、カッコいい。
兵馬さんが広げようとしている「4K」は、解体業のイメージを変えるだけの言葉ではありません。
自分たちの仕事を、自分たちの言葉で誇りに変えていく挑戦です。
そして同時に、ボクたち一人ひとりが、身近で働く人の姿をどんな目で見るのかを問いかける言葉でもあります。
仕事の価値は、表面だけでは分かりません。
目立たない場所で、誰かの未来を支えている人がいる。
その人たちに、きちんと「カッコいい」と伝えられる社会であってほしい。
兵馬さんの挑戦を知り、ボクも心からそう思いました。
アナタにとっての仕事ってどんなものですか?
改めて考えてみるキッカケになれば幸いです。。。
多賀谷兵馬 初出版記念講演会 in 東京
日時:2026年7月25日(土)14:00〜16:00
多賀谷兵馬さんの初出版を記念した講演会が、東京で開催されます。
さらに今回は、“炎の講演家”鴨頭嘉人さんとのスペシャルコラボ講演も実現。
解体業界のリアルや可能性、働く人たちの誇り、そして「4K」に込められた想いを、本人の言葉と熱量で受け取れる時間です。
解体業界に関わる方だけでなく、
「自分の仕事の価値を見つめ直したい」
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「挑戦する人の生の言葉を聞きたい」
そんな方にこそ、参加してほしい講演会です。
チケットはA席・S席・VIP席があり、すべて書籍付き。VIP席にはツーショット撮影の特典も用意されています。
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